2013年2月28日木曜日

Bhasha English-Sinhala Dictionary 英語->シンハラ語辞書アプリ

https://itunes.apple.com/jp/app/bhasha-english-sinhala-dictionary/id592018752

(開発元公式サイトのブログ)
http://blog.bhasha.lk/2013/02/bhasha-apps-now-available-on-your-iphone.html


Androidでは2012年の4月に既にリリースされていたアプリの機能縮小版らしく、現時点ではオフラインの英語->シンハラ語辞典のみにコンテンツが限られています。収録語数は不明ですがextrapolation「外挿」とかantediluvian「ノアの洪水前の / 時代遅れな」みたいな難しい単語もエントリーに載っているので最低でも数万語クラスには届いているのかな?とも思う一方、hungerなんて簡単な単語が無かったりもします。固有名詞は全くと言っていいほど収録されていないようです(IndiaとかBritainやColomboなんて地名も載っていない)。

辞書としては至極シンプルで、英語の見出し語に対して単にシンハラ語の訳が一つ一つ番号順で並んでいるだけで用例は一切無く使い分けも不明です。多義語や品詞が違う場合も一緒くたにされています。訳語は全てシンハラ文字のみで書かれていて所々文字化けしている箇所もあります・・・
アンドロイド版ではローマ字でシンハラ語を入力出来たりもするようですがこのiOSのアプリでは逆引きの機能すらありません

また、英語の入力も部分一致検索のみに限られていて使いにくいです。 例えば「monkey」と入力すると先にmonkey about, monkey around, monkey business, monkey-wrenchが出て来て最後の5番目にやっとmonkeyが現れます。非ユニバーサルアプリで画面表示の縦幅も限られているのでキーボードを引っ込めないと「monkey」がタップ出来ませんw

検索履歴表示機能も無いし、もしシンハラ語みたいなマイナー語じゃなかったら一発でゴミアプリ認定だよこれ。

そんなわけで色々と酷い点を大量に抱えた欠陥アプリなのですが、同じ開発元によるAndroidアプリでは既にシンハラ-タミル-英語辞書やシンハラ-シンハラ辞典なども存在していて好評なようですから、今後のアップデートと拡充、追加リリースに期待したいですね。有料でもいいからもう少し実用に堪えるものを

2013年2月27日水曜日

iOS版モニエルの迷走 Monier-Williams Sanskrit English Dictionary 梵英辞典アプリ

https://itunes.apple.com/jp/app/id590941085

サンスクリット語の辞書で良くも悪くも世界のスタンダードであるMW辞典のアプリ版で、前に出ていたケルン大のオンライン辞書に不完全なリンクを貼るだけのゴミアプリに比べればこれはオフラインで動くし動作も極点にスローではないしで大分まともなものです。しかし西洋古典学と違ってPerseus Projectのような立派な後ろ盾がありませんからMWも電子辞書となると必然的にLSJやOLDなどの電子版に比べて内容的にも機能的にも残念なものになってしまいます。

このアプリの最大の欠点は入力方式で、 およそサンスクリット語が分かる人間が作ったとは考えられないような無茶苦茶な固定キー配置のために特殊文字の入力が困難になってしまっています。rに下点のṛはf、反舌音のṭがw、ḍはqなんて覚えにくいったらありゃしないです。一つのキーボード上でワンキー<->一文字対応にしたかったというようなことがアプリ内の開発者コメントに書いてありますが、さすがにṣはzでśがSというのは京都・ハーバード方式と真逆で利用者を馬鹿にしているとしか思えません。辞書の中身も元の紙版でローマ字で書いてある部分しか反映されていないので、ヒンディー語キーボードのデーヴァナーガリー文字で入力するなんてもちろん無理です。
今の所このクソ配置を覚える以外に特殊文字入力する手立てが無いのです。

ちなみにエントリーの語源比較欄のギリシア語の入力担当をした人の名前がクレジットに出ていますがやっぱりこのアプリでギリシア文字は表示されていません。切なくなりますw

それでもこのアプリを使って遊ぶ方法はいくつかあって、検索ワードを入力する際に冒頭に-(ハイフン)を入れると長母音や下点の特殊記号を全て無視した一括検索を行ってくれるという機能があります。例えば「-rada」と入力すればradaとrāḍhaとrādhaとrādhāの全部が一覧で表示される、という具合です。これは目当ての単語が長母音だったか反舌音だったかあやふやな時には役に立ちますし、普段見慣れている単語の綴りからドットを抜いたりマクロンを削ったりして一部を変えると知らない単語が発見出来て面白いかもしれません。ただし、どういうわけだかṛやṝは-rで入力しても出てきません(これがものすごく不便)。

また、%を最初か末尾に入れると部分一致検索に変わり、試しに%bhavaとでも入力してみるとanubhavaだのナントカsambhavaやらudbhavaたらkulabhavaだ「-bhava」の手前に何かひっついたグループが勢揃いする形になり、ratna%で検索すればratnaの後ろに色々なものが続く財宝・宝石シリーズが展開されるのを閲覧することが出来ます。さらに%と%で特定の綴りをはさみこんで検索することも可能です。

そして&を頭に据えて英単語を入力すると英語の訳語の方から総逆引きを始めますが、feelとかloveみたいな超基本語で逆引きをかけると合致が多すぎてフリーズ状態になるので要注意です。ちょうど動物の名前くらいで逆引きすると期待していたより豊富にサンスクリット語の候補が現れて、シソーラス的に使えるだけでなく知っている単語の意外な比喩的用法なども調べられて便利だと思います。


情報精度は紙版の辞書にかなわず、入力の利便性で他の電子版に劣っている以上、変則的な引き方をしてMWを遊ぶためのアプリ・あるいはモニエルをネタにしたワードゲームアプリくらいの感覚で使うといいんじゃないですかね。所詮無料のアプリですから。

おまけ
Doppelkonzert für zwei Violinen d-Moll BWV 1043

2013年2月26日火曜日

『クルド語入門』&『クルド語基礎語彙集』


クルド語入門

イラク東北部からイラン西部にかけて分布するクルド語のソーラーニー方言を扱った本です。現地でも使われているアラビア文字表記とJ. NebezのKurdische Schriftspracheのローマ字転写を採用しているようで、一応他の文法書との転写方式の対応表も載っています(p19)。

ですが、著者が自分で採用した綴りや転写の方式を忘れたのかと思いたくなるほどにこの本は誤字・誤植・脱落・間違いの量が尋常では無く(初版1刷)、かつ文法書としても構成上破綻しているのでクルディスタンの険しい山脈のごとくに入門者を拒むクラッシャー語学書と化しています。

まず酷いのが新出単語なんかガン無視で例文や練習問題に知らない単語が使われまくっていることで、しかも巻末にはこの本の中で出て来た単語をまとめて載せている語彙集が付いていないという無理ゲー仕様です。分野別の語彙集はあるのですがそこには載っていない単語が多すぎて本文を読むためにはほとんど役に立ちません。たまに欲しい単語が見つかったと思ったら台座付きハムザとヌーン間違えてるとかいい加減にしろや(p153、māngā「雌牛」)。
例えば10課の作文問題で出てくる「眼鏡」が22課で初出で10課以前のどこを見てもcāwīlka「眼鏡」という単語が無く、こんな場合にも語彙集が無いので即刻手詰まりです。

練習問題には解答が付いているのですがアラビア文字の長い綴りの未出単語が混ざっていたりするとどこが切れ目なのかも分からなくなります。しかも印刷のダメな本の典型で練習問題解答のページにはおかしなところにスペースが入っていてワーウやラーの次の文字が遥か彼方にすっとんでいたりすることも多々あります。

こんな風にどうせありもしもない単語を探して前のページを毎度毎度ひっくり返しているのもだんだんバカバカしくなってきたので同著者による『クルド語基礎語彙集』も手元に置いて読むことにしましたが、この本は日本語->クルド語の索引が無いために作文問題には使えず、しかも同じ単語のはずなのに舌先ふるえ音のrや暗音のlを表す特殊文字を使ったものに関して『クルド語入門』とは綴りが違っていたりしてどっちが本当だか分からず混乱を招きます。こちらもやっぱり誤植が目立つ本なので信用出来ません。

文法導入のための章設計も原稿のページを差し違えたのかと思うくらいのデタラメで、「動詞後接辞-awa付き動詞」が一体何なのか説明が無いのに突如-awa付き動詞の完了形の人称変化表が出てくる(p77)のには仰天しました。また最後の方になってくるとそれまでほとんど無かった小さい字の語註が本文中に現れるのですが、hātin「来る」の命令形がウルトラ不規則でwaraになるとかそんな大事な情報をちっちゃい語註の一言で済ませるなよ(p99)と突っ込みたくなります。
繰り返し出てきてページ数を食い荒らしていく動詞のリストは何度も同じ単語が重複しているのに、そのすぐ後に出てくる練習問題中で使われている動詞は非掲載とかいうのにはもう呆れるばかりで、一体どういうツギハギをしてこの本を作ったのか理解不能もいいとこです。ペルシア語既習でも支離滅裂すぎて付いていけません。

クルド語ソーラーニー方言は後置冠詞に相当するもの(-aka)があったり、ヒンディー語やパンジャービー語やマラーティー語などと同じように他動詞の過去時制で能格構文を取ったりと文法的には非常に面白い現象に溢れた言語です。ですがこの本でそんなことを知ろうとしても莫大なるストレスと後味の悪さが待っているだけなのでおすすめしませんね。ちゃんちゃん。

誤植・突っ込みリスト(暫定版)
p30, 練習問題(11) 1. birāの後にエザーフェが抜けている
p34, 練習問題(13) 5. kuřakānの真ん中の短母音のaが抜けている
p34, 練習問題(14) 4.「技師」は本編ではなくviiiにしか載っていない。こんなの探させるなや。
p37, 練習問題(16) 3. クルド人「たち」は不要。別にこれでも間違いではないが解答のほうは単数形なので誤解を招く可能性がある。
p41, 上から3行目 ×「この店は」->「その店は」
p41, 練習問題(17) 3. xuškimのuが抜けている
p43, 下から3行目 一人称複数の人称語尾はinではなくīn
p46, 上から5行目, 6行目 ×āsāntarīn, garmtarīn->āsāntirīn, garmtirīn ペルシア語の比較級と勘違いしてる
p46, 上から8行目 ×piyāwe->piyāwa
p63, 上から9行目 xurēn-imの前にdaが抜けている(アラビア文字、ローマ字両方)
p65, 上から4行目 私は「昨日」彼らを送りました。「昨日」が抜けている
p67, 練習問題(27) 3. 最後のdītinのtがyになっている
p74, 練習問題(29) 3. 「フランス」の綴りが何か他の言語とごっちゃになっている。多分これでも分かるかもしれないが、少なくとも文法入門書では一貫した綴りを使うべき。
p78, 一番下の行 ×彼が帰宅したときには、姉妹はすでに帰っていました。->私が帰宅したときには、私の姉妹(単数、姉か妹のどっちかなので日本語がおかしい)はすでに帰っていました。
p83, 上から12行目 řōyīštのōがワーウに山形記号を付け忘れてuのままになっている
(まだまだ続く)

解答編
p172, 14. 1. mindāḻaのnとdが融合してしまっている
p172, 18. 5. xuškimのuが抜けている
p173, 20. 4. 最後の×jiwāla->jiwāna
p173, 21. 5. ×食べています->食べていません
p174, 27. 1. ×煙草を吸いました->吸っていました 
(まだまだ続く) 

おまけ


クルド人たちの間には「クルド人はメディア王国の子孫だ」というトンデモ歴史ファンタジーがあって、元はというとロシア出身のミノルスキーという人騒がせなイラン史家(本田實信のイギリス留学時代の指導教官)が言い出した説だったのですが、「失われた帝国」像は祖国を持たないクルド人の苦境とも重ね合わされてロマンと想像を生み、さらには新約聖書に出てくる東方の三賢者(マギ)もクルド人だった!といった方向にもエスカレートしているようですw

残念だけどこんなのシュメール・スキタイ・トルコ一元ユーラシア大文明とかの亜流トンデモだべw

2013年2月25日月曜日

ゾンカ語口語教本


ゾンカ語口語教本

元々この本は青年海外協力隊用にManual of Spoken Dzongkhaというタイトルでブータン現地出版していたものの日本語版のようで、

本書は、あくまで筆者がゾンカ語を修得する過程で蓄積した個人的ノートに過ぎない。
とあとがきに記してあります。この日本語版のためにゾンカ語<->日本語の語彙集を追加したそうですが全166ページ中の半分近くが語彙集で、残りの前半部分がさらに第1部「発音と文法」(63ページ)、第2部「会話練習及び語彙」(23ページ)に分かれています。


 文字は全篇ローマ字でチベット文字の綴りは分かりませんが、発音に関してピッチの高低(「’」が手前にあると高声調、前接字のའではない)と母音の長短(「:」で長母音)を区別する表記の仕方を取っています。ただ、IPAが全然書いていないのでshやzhなどは適当にチベット語から類推するしかありません。また、チベット語の本では見かけないpc、pch、bjという種類の子音に関しては「pを発音する口の構えでcを発音しろ」という程度の説明のみです。これがチベット文字の綴りで何に対応しているのかDzongkha Development Commissionのオンライン英->ゾンカ辞書で調べて見るとどうやらpy-、phy-、by-のようで、例えば「蝶々」は本書の表記ではpchemlaで、DDC辞書のチベット文字綴りの転写をするとphyem laとなっています。

文法編はやはり説明が簡潔すぎるし文例もあまりに不足しているのではっきり言って分かりにくいです。接辞の細かいニュアンスの違いなどについて述べられているのは良いのですが、それ以前にチベット語既習でもなければ一語一語分析しながら理屈で分かるのは無理だと思います。

読んでいて気付いた点をほんの少しだけ述べてみれば、
'gro「行く」(本書ではjoと表記)の完了形がsongになるとかはチベット語とそのまんま一緒だったりしますが、「~である」がyinではなくyingになっていたりして微妙に違う部分もあります。名詞について特徴的なのはチベット語の名詞の接尾辞に使われる-waが-uになって前の音節の-aと融合し-auで終わっているものが多く見られることです。例として「月」はdauになります(蔵zla ba)。

なんだかんだでチベット語とよく似ていると言ってもいつも通りというか語彙の違いの壁が大きく立ちはだかっているように感じました。nyimaが「日中」なのは分かるけどnumo「夜」とかこれ一体何?それと、この本を終えたら何にステップアップすればいいんでしょうね。まさかvan Driemのオランダ語で書かれた文法書とか読むの?w


おまけ(単なるブータンの映像です)


2013年2月24日日曜日

ニューエクスプレス オランダ語 単語集


ニューエクスプレス オランダ語単語集 (ニューエクスプレス単語集)


『ニューエクスプレス オランダ語』に対応する単語集ですが『オランダ語の基礎』の『中級オランダ語』の著者が執筆担当しています。オランダ語->日本語が3000語、日本語->オランダ語がテーマ別で1000語というのはシリーズ共通の編集方針で、基本的に見出し語に対応して載せられているのは品詞と訳語のみですが(zetten「置く」くらいの基本語だと4つくらい用例が付いていたりもする)、この本は名詞の複数形をたとえ不規則なものでなくても括弧()で見出しに添えている点が独自の特徴です。複数形が2種類ある場合も両方が併記されています。

また、読みガナに関してonderwijs オンデヴェイ 「教育」のように閉音節の末子音を小さく印刷しているという工夫があります。こんなの別によっぽどのアホじゃなければオンデルヴェイスと書いてたってrとsの後ろに余計なuの母音を入れたザパニーズ発音で覚えたりはしないだろと思いましたが、何と自動詞のvoorkomem(voorが分離可能)「起こる、~のように思える」と他動詞のvoorkomen(非分離動詞)「先手を打つ、予防する」の区別をするために前者をォーコーメン、後者をヴォーコーメンと記しています(p149)。芸が深いですねw
でも、opruimen「片付ける」とかmeebrengen「持って来る」みたいな普通の分離動詞には特に小文字表記はありません。どうせなら分離動詞全部のカタカナ表記を小文字始まりにした方が良かったのでは。

また一つの欠点として、訳語に複数の異なった意味がある場合でも番号などを振って区別せずに全部「、」で横に並べてしまっているのがまずいです。
例えばnootには「ナッツ、覚え書き、音符」(p091)とありますが最初の「ナッツ」と後ろの「覚え書き、音符」の二つは異なる語源の単語がたまたまオランダ語で同じ綴りに合流してしまった結果によるもので、同音異義語として最初から分けて扱うかせめて「ナッツ」と「覚え書き」の間にスラッシュかセミコロンでも入れて違いが分かるようにしておくべきだったと思います。「覚え書き」と「音符」も同じラテン語のnota由来ですが普通は辞書の中で何の断りも無く並列されるようなものではありません。
monster「怪物、見本商品」(p087)についても同様です。

ともあれオランダ語は単語集の数自体が少ないので、信頼出来る著者によるこのような見やすいコンパクトサイズの単語集が増えたことは純粋に喜ばしいことだと思います。

おまけ
Golden Earring - Twilight Zone

2013年2月23日土曜日

MOT Finnish-English Dictionary Suomi-englanti sanakirja フィンランド語<->英語辞書アプリ


iOSのフィンランド語の辞書ではおそらくこれが最も収録語数が多く用例も詳しいものだと思われます。見出し語は公称約225000で、熟語・派生表現も見出しとしてエントリーされているため実際の収録語数はもっともぉーっと少ないでしょうが、それでも85円~400円くらいで転がっているフィンランド語辞書のアプリとは別格の内容を備えていると言えます。

アプリのタイトルはFinnish-Englishですが実際にはもう一つ英語->フィンランド語の辞書も入っていて常に両者の同時串刺し検索を行うようになっています(フィンランド語->英語側だけ引けるように設定する方法をいくら探してみても分かりません)。おそらく225000というのもフィンランド語と英語の見出し両方の合計でしょう。ジャンプ機能も無く、逆引き検索にも非対応なのはちょっと問題だと思います。

ちなみにこのMOTというのはフィンランドの電子辞書ソフトウェア会社Kielikoneの商標で、MOTシリーズとしてパソコンのライセンス版の辞書・翻訳ソフトやノキアの携帯電話用のアプリケーションなどを扱っているようです。しかし本アプリは2012年1月からアップデートがなく、非ユニバーサルのiPhone / iPod Touch用のままとどまっています。アプリ内のヘルプ(英語)やガイド(フィンランド語のみ)を見ていても何か他のモバイル端末用の辞書のヘルプの使い回しのようなことが書いていてどうもおかしいし、今後インターフェイスなどが改善されたバージョンが出る気配も感じられないのですが、せっかく使える内容を持っているのだからこのまま放置して忘れ去られたまま無駄にはしてほしくないですね。

おまけ

Nightwish - The Wayfarer



Nightwish - Over the Hills and Far Away

2013年2月22日金曜日

『ポルトガル語発音ハンドブック』


ポルトガル語発音ハンドブック

ポルトガル語の二大バリエーションであるヨーロッパ・ポルトガル語とブラジル・ポルトガル語の発音、音声的特徴について詳細に比較しながら解説したもので、特にCDなどは付いていませんがよく読んで理屈が分かれば字面から正しい音が聞こえてくるように書かれています。

耳で両方のバリエーションをある程度聞き慣れてはいるけれども、文字と発音の対応関係にいまいち不安な所があるという人、学校で習ったポルトガル語の発音ルールとはどうも違うイレギュラーな現象の存在に薄々気付いているけどそれが何なのか分からずにモヤモヤしている人などに本書は最適です。 単数形のcorpoと複数形のcorposで最初のoの発音が違うとか、caipirinhaの最後のiの鼻母音化など言われてみればそうだと分かる発見を一つ一つ増やしていくことは単なるトリビアの蓄積ではなく、聞き取りの向上にもつながってくるでしょう。
 
特にヨーロッパ・ポルトガル語に関してはロマンス語の中でもトップクラスに発音が難しい言語で教材も少ないので、このような本である程度早い段階から音声学の助けを借りることが望ましいと思います。p101にある「無声子音に続く-eの母音脱落」などは重要です。

この本が出てたった3年後にヨーロッパ・ポルトガル語の大掛かりな正書法の改訂が発表され、今年(2013)から本書の内容の一部(黙字のc, pなど)も用を為さなくなるのですが、ポルトガル語の発音についてこれほど精細に記した本は今後も日本では他に現れないでしょうからオンリーワンとしての価値が揺らぐことは多分ありません。

一つ注文を付けるとしたら「リスボン方言」「リオ・デ・ジャネイロをはじめ多くの地方で」などさらに下位の方言分類についての一貫した記述方針が無いのがずるいというかせめて参考文献の該当箇所くらいは記しておいて欲しかった、というのは贅沢でしょうか。

なお、『新版 ポルトガル語四週間』の第1週の発音セクションは本書のダイジェスト版になっています。「V. 音調」の図も例文も全く同じなのはちょっと勘弁してほしかったですけどね。

ポルトガル語の発音については以下のPDFも有用です。
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/gakutoko/moji.pdf


おまけ

Uakti - Arrumação



2013年2月21日木曜日

Colloquial Croatian


Colloquial Croatian (Colloquial Series)

Routledge Colloquialシリーズのクロアチア語の巻で、メインのスキットはキャメロン夫妻(旦那がスコットランド人で奥さんがアイルランド人)がクロアチアに短期滞在している際の現地でのやりとりを想定した内容になっています。

米アマゾンのレビューでこっぴどく批判されている通り、この本の一番の問題点は新しい文法事項が導入されて例文があってそのすぐ下にあるまず最初の練習問題に解答が付いていないことが多いという謎の不親切仕様です。練習問題の最後の方にある英語->クロアチア語パッセージ全文訳なんかには答えがあるのに、「さあ、例に従って名詞を適切な格に変化させてみましょう」みたいな問題に解答付けないってのはどういう魂胆なのかサッパリ理解出来ません。スキット本文を参照すれば中に答えがあるから省略したというわけでもないようです。手抜き?イジメ?何なの死ぬの?

しかもただでさえこのシリーズは新出単語が毎課毎課バカスカ出てくるにも関わらず練習問題はさらにそこにも含まれていない単語を使っていて巻末語彙集を見ないと解けないものが多々あるので真面目にやっていたら精神的に参ってしまいます。語彙に不安のある初心者だったら尚更挫折必至です。

初中級リーダー用に使うにしても単調な例文が多く、長そうなReading Passageも単文の短文を羅列しているのと一緒だったりして退屈なものが目立ちます。Ljubavna priča(ラブストーリー)という続きものの読み物が各課の最後のあたりに付いているのですが、表現上の制約のためか構想がいい加減なのか行間が端折られ過ぎていて結局ヒロインのMara(マラ)は彼氏のイトコ♂(マテ君、綴りがそのまんまMateでmateになってるのがなんか笑える)と浮気してどこまで行ったのかなんだかよく分からないまま「いつか僕たちはまた友達として会えるよね、そして若気の過ちを笑い飛ばせるよね・・・」byイトコ♂の手紙が届いて終わりです。

何なんだよ一体w


おまけ

Denis & Denis - Braca Grimm i Andersen 



Denis & Denis - Cuvaj se 


2013年2月20日水曜日

Magyar értelmező szótár Hungarian Explanatory Dictionary 洪洪辞典アプリ


ハンガリーのアカデミー出版から出ているハンガリー語-ハンガリー語辞典のアプリで、エントリーは25000語、全ての青字見出し語にはハンガリー語の音声が収録されています。データの元は2008年に出た同名の学習用辞典のCD-ROM版だとアプリの中に記してあり、ハンディサイズ(kézi)とはいっても基本語の用例解説の豊富さについては同じような規模の対訳辞典に比べて圧倒的で信頼の置ける内容となっています。またエントリー内の全ての単語がジャンプ対象で、例文中で語形変化をしたり接尾辞が付いていたりするものも例外なく辞書見出し形にリンクしているのは便利です。ただこれは後に述べますが大きな欠点も抱えています。

検索については普通のSearchとSearch+というのがあり、無印ではkorと入力すると普通の前方一致検索でkor、kór、kora、korábbi・・・と順番に候補が表示され、+の付いている方ではダイアクリティカルマークを無視してkor、kór、körを並べて表示するという仕組みです。母音が長母音だったかどうかあやふや場合にはこのSearch+を使うと便利、なのかもしれませんが見出し語数がたった25000ではあんまり関係が無いような気もしますね。

ちなみに開発元もAkadémiai Kiadó Zrt.になっています。Paragonから出ているハンガリー語<->英語辞典のアプリの方は今後どうするんでしょうかね。アップデートも無いようですし、Slovoedのシリーズで別にHungarian<->English Deluxeも出ていることだし(でも内容はもしかして一緒かもしれない)で何だか混迷の様相を呈して来ているように思われます。


しかしハンガリー語の辞書としての内容はともかく辞書アプリとしてはβ版としてすら通らないくらいの未完成品で、画面も切り替えるごとにガタガタ揺れるし、全文検索をかけたわけでもないのに常にエントリーの中の全ての単語が灰色のブロックの中に入ってハイライトされていて見にくいしでこんなのよく発売したなと呆れてしまいます。 「超辞典」という全文検索辞書のシリーズがありますが機能的にはあれの超劣化版です。

最高にウザいのはVmivelとかVholというような省略記号(V=任意の○○、名詞)を使っている箇所もジャンプ対象になっていることで、もちろんそんなものを間違ってタップしてもジャンプ先なんかありませんから「No results found」画面に飛ばされてしまい、またダメな電子辞書の典型でこの場合に一つ前の動作に「戻る」キーが無いという最低仕様ゆえに検索履歴に戻って何にジャンプしようとしていたのか再び探すことになります。これはひどいw

もう少しユーザーインターフェイスの改善が無ければ人には薦められませんね。


おまけ

UNITED - Tegnap még más voltál 




2013年2月19日火曜日

『トルクメン語入門 - キリル文字編-』

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB09047627

大東文化大学が出版元の非売品ですが大学の図書館なんかには普通に置いてます。
日本語で書かれたトルクメン語の入門書としては現在唯一のものです(しかも音声付き)。
入門書といっても中で使われている文法用語がチュルク語既習者でないと全く意味不明ですが。

元は竹内和夫が1978年にトルクメニスタンに短期滞在した時に現地から持ち帰った小学校の教科書とそれを読み上げたトルクメン人のネイティブスピーカーによる音声記録の資料で、90年代前半に原稿は作ったけどお蔵入りになっていたものに手を加えて2012年になって出版する運びになったという経緯がまえがきに書いてあります。この「キリル文字編」は例のソ連時代の小学校の教科書のキリル文字テキストの下に現在のトルクメン語のラテン文字表記とは別の変則トルコ語風ラテン文字転写(母音の長短の区別あり)を付記し、音声がある「練習22」まではさらにその下にIPAで発音が記してあります。

吹き込みは32歳の運転手のおっちゃんで、このIPA表記が母音の欠落や子音の同化についてもかなり細かく拾っているのですがいかんせんCDの音質が酷い上にとにかく本文の誤植が多すぎて錯乱させられますw
また、ラテン文字転写の方では長母音になっているのに実際には短母音で発音されしかも手前の音節の方が長音化していたりといった謎だらけの現象目白押しなのですが、この本を真面目に読んでも解決することはほとんどありません。テキストの語註の日本語も所々じゃないレベルでおかしいです。

参考文献リストと語彙集を除いた巻末には「音と文法のまとめ」という30ページほどのサマリーが付いており、手っ取り早く概要を知りたい人はここだけ読んでもいいと著者本人が書いていますが、このまとめだけ読むと実際のトルクメン語の音の複雑怪奇さが分からない上に文法についても整然とした錯覚を与えます。順番はともかく、やはり本文中の味のある詩やなぞなぞなどにも目を通した方がいいと思いますよ。

ちなみにこの「キリル文字編」の後に「ラテン文字編」も作る予定みたいですが、今度は非売品じゃなくて普通に誰でも買える本として完成度の高いものを出して欲しいですね。
期待していますんふっ。


おまけ

Gunesh Ensemble - The Rhythms of the Caucasus 


2013年2月18日月曜日

Ornagai 2 English->Myanmar Dictionary 英語->ビルマ語辞典アプリ


オンラインのビルマ語辞書organaiのiOSアプリ版です。確かornagai1もあったはずなのですがいつの間にか消えていて、今年の2月にornagai2がリリースされました。容量は50MB未満、オフラインで使える無料のアプリです。

Myanmar->Englishにも対応していると謳っていてアプリ内にビルマ文字のキーボードも入っているのですが(英語のキーボード左上「ZG」で切り替え)、実際は英語->ビルマ語のエントリーを逆引きするだけですし用例も無く基本的に一つの見出し語につき一つの訳しか載せていないため逆引きで拾える候補が類義語に収束してくれず、ビルマ語->英語辞典として望むような訳語が出てくることはほとんど期待出来ません(的外れな単語の説明的な長い訳の一部が引っかかったりすることが多い)。

なのに 

Total Myanmar To English Word : 62549

とオンライン版のトップページにあるのは何をカウントしているのかよく分からない過大申告ですw

英語->ビルマ語の見出し語数は現時点で37413語で、既に紹介したiAbidanの収録語彙の少なさをある程度補うことが出来ると思います。
でも、やっぱりこの辞書もAustralianがあるのにAustraliaが無いのよね(笑)。

おまけ

Nay Wah - Full Moon Night (composed by U Myint Maung)



2013年2月17日日曜日

『ウクライナ語基礎 1500語』



基本的な構成は同著者による『ベラルーシ語基礎1500語』と同じで、ウクライナ語->日本語の1500語の後ろに文法の簡単なまとめと「ロシア語学習者のために」をはさんで日本語->ウクライナ語の逆引き索引が付いています。文法のページは『ベラルーシ語1500語』よりも4ページ多く一部中級以上の内容にまで踏み込んでおり、ロシア語との比較もふんだんに行われています。大学書林の『ウクライナ語入門』や白水社の『ニューエクスプレス ウクライナ語』を一通り読んだ人もこの本の簡略文法全33ページは目を通しておく価値があると言えるでしょう。

ただ、「ロシア語学習者のために」はあっても「ポーランド語学習者のために」が無いことがウクライナ語という言語にとっては問題で、例えばp112でロシア語の前置詞кとдоがウクライナ語ではдоだけに合流しているという説明がありますが、これはポーランド語の影響によるものです。他にもウクライナ語のорати「耕す」がロシア語のорать「叫ぶ」とフォザミの関係にあるという話に関してもこれはポーランド語のorać「耕す」(単数2人称命令形がorzになるという有名なやつ)に由来しているということが書いてありません。
別に「ポーランド語だから」と言って文法現象や単語の意味に関して何かもっと根源的な理由が分かるわけではありませんが、ロシア語の側からのみのアプローチではどうしても不公平・不完全な記述になります。

また、最初の略号説明に(西)(東)で方言の区別を表すという断り書きがあるのですが、この本の全てのページを調べても一体どこにそんな区別が記してあるのか見つけられませんでした。

あとはрадаの訳が「助言」「会議」に続いて「ソビエト」となっているのはおそらく悩んだ末の判断だったのか、その下にあるрадянськийには「ソビエトの(ラーダの)」と結局カタカナの「ラーダ」も出しています。まあ確かにこの単語の扱いは難しいですね。

おまけ

Karfagen - Symphony of Sound 


2013年2月16日土曜日

『ベラルーシ語基礎1500語』


現時点では日本のベラルーシ語の教材で唯一のものです。
『基礎1500語』として単語集の体裁を取ってはいますが27ページの簡略文法が付いており、その後ろにあるたった7ページの「ロシア語学習者のために」という解説部分のおかげでロシア語既習者はこの本の1500語のほとんどを急に既知の単語だらけに化けさせることが出来ます。なお日本語からの逆引き索引も後半パートとして収録されています。

ベラルーシ語の正書法はロシア語のアーカニエをみんなаで書いたような綴りになるのが特徴で、стол「テーブル」の前置格がсталеという風にまるで大学1年生のロシア語の期末試験の誤答案みたいなのが「正しいベラルーシ語」の綴りとして認められています。いやあ、発音の通りに書いてるなんて素晴らしいじゃないか、アーカニエの方がクソだろと思うかもしれませんが、これだと変化形から元の単語の語幹が何だったか分からなくなるのです。セム語みたいにどこに何の母音が入るか形ごとにほぼ決まってるなら√стлだけ覚えて発音通りに綴ればいいかもしれないけど、長い単語の斜格形でアクセントの無いоをаにしちゃったら元の主格が何なのか容易には想像出来なくなるに決まってますわな。方言の音声的記述ならこういうやり方もありかもしれないけど、文字言語としては欠陥を抱えていると思う。

あとはロシア語のтがцに、дがдзに化けるヅーヅー訛りのようなものがあり、リェやミェなどの「子音+е」が「リャ、ミャ」と名古屋弁みたいに「я」に拡がってしまう「я化」が著しいです。медведь「熊」はмядзведзьになります。

・・・まるでベラルーシ語がロシア語の方言であるような書きようですね。
ベラルーシ語という「国語」の問題やベラルーシのナショナリズムに関しては
『不思議の国ベラルーシ』

が非常に面白くおすすめです。自国の言語を守るために命懸けの闘争を繰り広げて来たウクライナとはまるで真逆の状況で、ベラルーシ語ちゃんのベラルーシ本国での扱いの酷さにはもはや笑えてくるものがあります。自滅的とも言える親ロシア語政策・言語ナショナリズム潰しの行く末やいかに?

おまけ1
Ляпис Трубецкой - Буревестник 

おまけ2
Ляпис Трубецкой - Капитал 

2013年2月15日金曜日

ニューエクスプレス ブラジルポルトガル語 単語集



東進ブックスの『今すぐ話せるブラジル・ポルトガル語 単語集』と同じ著者によるブラジル・ポルトガル語の単語集ですが、こちらは例文が遥かに少なく音声CD無しの新書サイズになっており、収録語数は3000で前著よりも1400語多く収録されています。

見出し語の文法情報は基本的に品詞だけで、形容詞と名詞の両方ある場合は 形・男 、形容詞と副詞のどちらでも使えるものは 形・副 のように並べて書いてあります。estudante「学生」のように男女同形で名詞の形そのものには性の区別が無いものは単に と、一方capital「資本、資金 ; 首都」のように男性名詞と女性名詞も両方存在して意味も異なる場合は 男/女 という併記です。このあたりは白水社のポルトガル語辞典の略号に準じています。動詞の変化表は一応簡単なものが巻末に付いていますが、葡->和の単語集の見出しの方には特に分類や不規則変化に関する言及は見られません。

なお葡->和でも和->葡でも全ての見出し語にカタカナでブラジル流の読みが振ってあり、アクセントの位置もgravidez グラヴィデース 「妊娠」のように母音を伸ばして記すことで大体分かるようになっています。

どうでもいいですがurso「クマ(熊)」p166という見出しが熊の私としては気になりました。
普通漢字で先に書いてカッコでカタカナじゃないか?まあいいか。

こうやっていつも私は世界中の辞書や単語集で真っ先に「熊」に関する言葉を調べて「おお同胞よLOVE♥」ときゅんきゅんしているのです。名前に「熊」の字が入っている人に対して特に共感や思い入れは無いですけどね。志田未来の演じているクマ子は好きだったけど。

おまけ

Alexl - Trancado por Dentro 


2013年2月14日木曜日

Beginner's Serbo-Croatian



2001年にもなってこんなタイトルの本を出していたことにアナクロニズムを感じますが、中を見ると「あなたはユーゴスラヴィア人ですか?」というような文章が平気で使われていてもっと驚きますw

このHippocrene Beginner'sのシリーズも現在では別著者によるセルビア語とクロアチア語の巻がそれぞれ出ていますが、本書もローマ字ベースのセルビア語の入門書として十分に利用可能です。

スキット本文は見開き左ページがラテン文字のセルビア語、右ページに英訳というスタイルで、スキット2ページに対して文法解説が10ページ以上あったりします。そのためか全部で8課しかなく、使われている語彙も少なめです。

課ごとに文法のテーマを計画的に設定して順番に見ていくというよりは本文中に出て来た表現に関することだったらとにかく頁数を費やして全部解説しちゃえというスタンスで、各課ごとの情報量はまちまちです。ただ実際に読んでいる分にはこの方が分かりやすく、文法書というよりは講義録に近いと言って良いと思います。

文法解説の後には追加表現のコーナーがあり、ここでは
Imate li nešto za vegetarijance?(ベジタリアン用のものは何かありますか?)
IMmatteh-lih NESHtoh-za veghetariYANtze?
のように下に読み仮名ならぬ読みイングリッシュもどきが振ってあるのがいかにもアメリカの本らしいですね。大文字はアクセントのある音節で子音が重なっている手前は短母音で読めというルールだそうな。こんなものを付けるくらいだったらもうちょっと例文増やしてよと言いたいw

練習問題には全て解答が付いていますがどれも非常に簡単で味気無いです。

なおクロアチア語については文法解説中にsestiはIjekavianだとsjestiという綴りになる、「週(week)」のnedeljaはクロアチア語ではtjedanだ、という風にコメントを入れる形で触れられています。


おまけ
Yu grupa - Sama


Yu grupa - Opasno


2013年2月13日水曜日

Teach Yourself Croatian(仮記事)

旧版
Teach Yourself Croatian Complete Course Package (Book + 2CDs) (TY: Complete Courses)

本記事は旧版のTeach Yourself Croatianに基づくものであり、新版との異同については未確認であることをあらかじめご了承ください。

新版
Complete Croatian with Two Audio CDs: A Teach Yourself Guide (TY: Language Guides)


おそらくTYシリーズの中ではかなり易しく親切な部類に入るのではないでしょうか。同シリーズのセルビア語に比べると遥かに文法の解説が詳しく、格とは何かといったことから始まり見やすい表付きで英語の文法との対照が行われていて、例外的な格変化をする名詞も本文中で数多く網羅されています(ugaoやtaksiの格変化をちゃんと書いているのはえらい)。前置詞naとuの使い分け等に関しても用例豊富で細やかな説明があります。

ただその分練習問題が随分と少なめになっていてどれも簡単なのでビシバシ問題を解いてトレーニングをしたい人には物足りなく感じるかもしれません。
ちなみにスキット内容はこちらも旅行や短期滞在に関するものばかりです。

また、不思議なことにこれは日本の『エクスプレス』のセルビア・クロアチア語の巻とそっくりなのですが、スキットの語註に格変化形そのままのフレーズで訳が載ってしまっているために前の課で出て来た格変化をあんまり真面目に覚えてなくても先に進めるようになっています(例えばもう最後の方の17課p218ですらもs obje strane on both sidesなんて註が付いている)。

新版の米アマゾンレビューで批判されている通り本書は旧ユーゴ時代の「セルビア・クロアチア語」に影響されたセルビア語寄りの表現が多く、現代のクロアチア語の研究をしたい人には向かないでしょうが(ただzrakoplov「飛行機」なんかはp133に載っている)、『ニューエクスプレス』あたりで大まかな枠組みを知った人がクロアチア語ベースでもう少し詳しくやり直したい場合には格好の教材になる思います。

おまけ

JOSIPA LISAC - PO PRVI PUT

2013年2月12日火曜日

Teach Yourself Serbian

旧版
Teach Yourself Serbian (Teach Yourself Complete Courses)

Teach Yourselfのセルビア語は既に新版が出ており、そちらの内容は未確認で私が読んだのはあくまでも旧版の方であることを最初にお断りしておきます。

新版
Complete Serbian with Two Audio CDs: A Teach Yourself Guide (TY: Language Guides)

TYシリーズの編集方針に違わずいかにも旅行会話用・現地サバイバル特訓用という内容のスキットが目立ちます。街の通りの名前などでかつて社会主義的スローガンを冠していたものが現在ではセルビアの歴史にゆかりのある名前に変えられているような場合にちょっとした固有名詞の解説があったりするのと、イヴォ・アンドリッチの小説の話が出てくるのと(p206、ダニロ・キシュと並んで「セルビアの作家」とはっきり書いてあるw)、Slava(守護聖人の日)をテーマにしたスキットがある(p222)以外はほとんど文化的な情報に触れている箇所が無く、後は食べ物の名前とか地図の読み方とかホテルのチラシの解読作業とかそんなのばっかです。

料理や飲み物の説明には少しくらいイラストか写真が付いていた方が良かったと思う。
写真は本書中に紹介のあるシュリヴォヴィッツ


 
本文中のセルビア語は各課交替交替でキリル文字とラテン文字が表れます。慣れていないと「あれ、こんな単語前に出て来たっけ?」と気が付かず調べ直すのに時間を取るかもしれません。ちなみに後ろの語彙集はラテン文字表記のみで、動詞の不完了体と完了体がペアになってエントリーされていて完了体の形そのままからは引けないことに若干注意する必要があります。

一応文法の基本も網羅されてはいますが、何せ色々な会話表現が入り乱れてゴチャゴチャした本なので文法既習の人が実践的なスキットを通して新たに表現を覚えるために使うのが最適だと思います。~vić(~ヴィッチ)で終わる名前であっても女性の場合は呼格が主格と同形だとか、braon「茶色の」が不変化形容詞だとか、plavは普通は「青い」だけれど髪の毛を形容する時は「金髪」の意味だとかよく読むと初級の本では省かれがちな細かいことも書いてあるのですが、もしセルビア語をこの本から始めたとしたらそういう点には目が止まらず情報を吸収しきれないでしょうね。

おまけ
Amadeus Band - Tako malo


AMADEUS BAND - NIJE SVEJEDNO


2013年2月11日月曜日

Санскритско-русский словарь Sanskrit-Russian Dictionary Кочергинаの梵露辞典

http://www.ozon.ru/context/detail/id/2229161/

МГУの言語学の教授だったВ.А.Кочергинаによる中型の梵露辞典です。収録語数はたったの3万弱、用例もほぼ皆無、多義語が番号で分けられていても訳し分けの仕方は不明、それでいて動詞の派生形だけはやたらと詳しく書いてあります。見出し語はデーヴァナーガリーですが何故かラテンアルファベットで読み方が付いていて、ロシア語の訳語にはご丁寧にアクセントが全て振られています。インド人の共産主義化したバラモンにこの辞典でロシア語でも勉強させる気だったんでしょうか。

著者は比較言語学の人ですが残念ながらスラヴ語とサンスクリット語の同語根語などに触れたような記述は無く、はっきり言って無味乾燥な辞典です。私はサンスクリット語とロシア語の接頭辞の対応関係を調べてみたいと思ったことがあってこの辞典を手にしたのですがその目的で役に立ったことは一度もありませんでしたw

それと、別にサンスクリット語に限らず格がたくさんある言語のロシア語対訳辞典では必ず混乱することなのですが、例えば意味の上では~к чемуなんて書いてある真横にサンスクリットの方の要求格がL(Locative)なんて記してあったりで、一体どっちがどっちの格だったか読んでいて分からなくなることが多々あります。

ちなみにこの辞書はオンラインの電子版もあるのですが結局誰得な内容であることには変わりありません。難しい漢訳の仏教用語で覚えているようなサンスクリット語の単語をロシア語に翻訳したらどうなるのか知りたいような場合に覗いてみてもいいという程度で、nirvāṇa「涅槃」がнирвана以外にисчезновение, конец, прекращение, удовлетворение, ублаготворение, блаженство, вечный покойなど色々な訳が当てられているのを見て「へえконецもアリなの」と驚いてみたりすると楽しい、のかどうかは分かりません。

おまけ
Dajkiri - Ostorozhno


2013年2月10日日曜日

『ゼロから話せる ルーマニア語』



「会話中心」のシリーズですが本文に細かい文法解説がついているタイプで、スキット右ページを見れば会話文中で使われている各表現の語形と意味について疑問が残らないようにしてあるのはこの手の本としては非常に良心的であると言えます。例文を含めて『エクスプレス』シリーズよりも逐語的にどこが何故その日本語訳に対応するのか分かりやすく書かれていると感じられるでしょう。類義語などの追加情報を出すタイミングも上手いと思います。さすがに「ゼロから」の人にはキツイかもしれませんがロマンス語既習者であればこれで文法入門も兼ねることが出来ます。

なお、まえがきにもありますが半過去・関係代名詞・受動態などは扱われていません。最後の22課は「三つの未来形」で終わっています。

欠点はアクセントの位置が記されていないことです。特に動詞で人称によってアクセントの位置が変わる場合に触れていないのは問題だと思います。あと、せっかくの風景写真がモノクロなのが少し残念でした(仕方ないか)。

本書p76で登場するルーマニアのスイーツ「パパナシ


ぶっとい揚げドーナツにクリームチーズorサワークリームとジャムをぶっかけたものです。
 

おまけ
Celelalte Cuvinte - Nu-mi Da Tot Intr-o Zi 


Celelalte Cuvinte - Zodia


2013年2月9日土曜日

ニューエクスプレス ブルガリア語

ニューエクスプレス ブルガリア語《CD付》
『CDエクスプレス ブルガリア語』と同じ著者による『ニューエクスプレス』ですがスキットは全篇新作で旧版よりも字が小さく分量も増えて難しくなっています。全ての単語にアクセントが付されている親切仕様は旧版同様で、解説ページはレイアウトが改善されてさらに上手く整理されているのですが、未出の文法事項が突如スキット中に登場したり(例えばp39, пристигнахме「私たちは着いた」という完了過去形がまだ現在形初出の課なのに現れる)、その過去時制の登場も旧版では14課からだったのがこの新版では11課に繰り上げられていたり、代名詞短形のスキット本文中での使われ方が前半から容赦なかったりするので完成度は高いものの旧版よりも挫折率が上がる内容になっていると思います。

先に『CDエクスプレス』の方を読んでこちらは復習とその先のステップアップ用に使う、というのがおすすめかもしれません。練習問題は旧版と同じくほぼ全てがテーマのはっきりした穴埋めと書き換え問題で、日本語訳が付いていないのも一緒です。

巻末にはбоб чорба(豆スープ)のレシピが載っています。


スキットの主人公は日本人の商社員か何かで(夫人同伴)、自然なブルガリア語を使って現地社員にバシバシ指示を出したり、全てを分かったような上から目線で「わかるよ、独身だろう。」と部下のブルガリア人をやんわりたしなめたり、10課で一度病気になる以外はあまりにデキ男過ぎて怖い設定になっています。たとえこの本を100回読んで全文暗記してもそこまでのレベルには絶対に到達出来っこありませんw


おまけ
FSB - Vmesto sbogom 

2013年2月8日金曜日

タブレット・スマートフォンと電子辞書(2)その他の外国語編

小型持ち歩き用の電子辞書には「外国語モデル」や「追加コンテンツ」があってこれまでにドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語・中国語・韓国語に対応したものが出ています。

これらの外国語で、大辞典クラスのコンテンツを扱っているのはもっぱらカシオ機です。キヤノンにも中国語の大辞典等を搭載している機種がありますが今やカシオに比べると本体の性能が悪すぎて問題外だと思います。セイコーとシャープは中型辞典の追加コンテンツカードが出ている程度で、本格的な第二外国語モデルはありません。



残念ながらこれらの第二外国語モデル電子辞書・追加コンテンツでタブレット・スマートフォンのアプリとの競争関係において生き残れる可能性があるのはドイツ語・フランス語・中国語(・韓国語)だけだと思います。それもおそらくは複数の外国語モデルを合併したようなものでしか勝負が出来なくなるでしょう。(2014年2月追記、ドイツ語もフランス語も多分もうダメです)
今年度のカシオのXD-Nシリーズの進歩の無さを見てさらにその確信を強めました。


まず、第二外国語モデル電子辞書がタブレット・スマートフォンに比べて不便なのは入力の問題です。

たとえばロシア語は普通のqwerty配列で電子辞書用の小型キーボードにはどうやっても収まり切らないので、シフトキーを押して隅のあたりのキーを入力切り替えするかタッチパネル上のミニキーボードの文字を押すという実に面倒くさい手続きが待っています。キーの上に特殊文字が印刷してはあっても、専用のキーボードそのものが筺体に取りつけられている現行モデルはありません。
ドイツ語やフランス語の特殊文字入力は受け付けておらず、エスツェットはssで代用したりウムラウト・アクサン記号抜きで入力して候補が近くに出てこないか探したりするといった具合です。それで簡単に見つかる単語ならばいいですが、いざという時にドンピシャリの綴りで正確な入力が出来ないのは困ります。

その点、言語毎にキーボードがすぐに切り替えられてキー長押しで特殊文字が一発で呼び出せるタブレット・スマホは入力に強いと言えます。外付けキーボードの利用や画面キーボード中央分割両手持ち入力により打ち込みスピードの問題も解決します。中国語の手書き入力に関してもタブレットならば使えるスペースと書きやすさが電子辞書とは雲泥の差です。


また、電子辞書は追加出来るコンテンツの種類が少なくインストール作業も面倒です。

本体メモリやmicroSDカードに追加コンテンツを転送することは出来ますが、appstoreでの購入に比べて作業が遥かに煩雑で「電子辞書一機につきパソコン一台(iPhoneやiPadと違って単なるバックアップの問題ではなく、同一名義の電子辞書複数台を一つのパソコンで同時に管理することさえも無理)」という制約もあって不便極まりないです。
去年から追加コンテンツカードのスロットが二つに増えましたが、自分で用意したmicroSDによほどたくさんのCD-ROM追加コンテンツを転送しない限りは所詮カード差し込みで増やせる辞書の種類などたかが知れたものです。例えばカシオは去年からドイツ語とフランス語モデルの独自コンテンツだった小学館の独和大辞典と仏和大辞典を追加コンテンツカード化するという身切りとも思える行為に出ましたが、この独和大辞典と仏和大辞典のカードを両方のスロットに差してしまったらもう後は本体のメモリに中型辞典が2冊入るかどうかという程度になってしまいます。しかし電子辞書の本体メモリにCD-ROMの電子辞書を食わせると明らかに処理速度が下がるのでおすすめしません。

こういった点で、何十GBも使って何カ国語でも何冊分でも辞書コンテンツを増やせるタブレット・スマートフォンとは自由度も発展性も大きく異なっています。


以下、各国語別にコンテンツを検討して行きます。


ドイツ語は去年のモデルから中辞典が『クラウン独和』/『コンサイス和独』->『アクセス独和・和独』に変わりました。しかしアクセス独和・和独は既にiOSアプリ化されており、一つ版は古いですが『アクセス独和』はセイコーの追加コンテンツカードとも重複しています。『クラウン独和』/『コンサイス和独』のCD-ROMであるXS-SA18も生産終了済みでe-casioのオンラインショップ以外で入手するのは非常に難しい状態になっており、なぜカシオが自ら独自コンテンツを切り捨てるような道に走ったのか理解出来ませんが(※追記 2013年3月よりセイコーのDFシリーズ用追加コンテンツカードとしてクラウン独和が復活、2013年5月さらに追記、NEC BIGLOBEからアンドロイド用に出回っていたクラウン独和が4月からiOS版でも登場)、一応独和の大辞典と中辞典を両方収録していて同時に引き比べられるという電子辞書の強みは維持されていると言えます。目玉コンテンツである小学館の『独和大辞典』はiOSのアプリにはなっておらず(2014年2月追記、物書堂よりアプリ化されました)、Oxford独英・英独もかつてはiOSアプリ版が存在したにも関わらず現在ではストアから削除されているので(2013年9月にMS Dictより復活しました)これらがセットになって収録されている第二外国語モデルとコンテンツカードはタブレット・スマートフォンに比べて対訳辞典で優位に立ちます。(2014年2月6日付でコンテンツ面での優位性は消滅しました。)

ただ独独に関してはDUDENの独独辞典もDUDENの他の正書法辞典などのシリーズも大量にiOSで出回っているのでDUDEN Universal独独一種類しか収録していない電子辞書の魅力は大幅に減少しました。
ちなみにドイツで売られているカシオのモデルには独独コンテンツとして他にBrockhausの一巻本大百科事典やDUDENの外来語辞典が搭載されています。ブロックハウスはブリタニカ百科事典などに無い項目を載せていたりDUDEN Universalの百科事典性の弱さを補う役割もあって使えるのですが、ついに今年も日本のモデルに収録される日は来ませんでした。露骨な出し惜しみ・手抜き商売だと思います。カシオ・チャイナのドイツ語モデルにはランゲンシャイトも入ってるのにね。

しかし価格面で比較検討するとiOSのアクセス独和・和独は7800円と高価であり、これにDUDEN独独を加えると1万円を超えてしまいます。独和大辞典とOxford-DUDEN Germanを備えていて、かつそれらを一つの画面で一括串刺し検索出来、3万円程度の値段で手に入るカシオのドイツ語モデル電子辞書および1万円程度の大辞典系追加コンテンツカードまだ十分にタブレット・スマートフォンに対抗出来る製品であると判断します。(追記、2014年2月をもってこの主張を撤回します。)



カシオ EX-word 電子辞書 フランス語モデル 100コンテンツ 2000クラシック名曲フレーズ 2000文学作品収録 ツインカラー液晶 EX-VOICE機能 タフパワー設計 堅牢ボディTAFCOT XD-N7200
フランス語モデルはさらに恵まれた状況にあると言えます(※2013 5/26 追記、物書堂から小学館仏和大辞典のアプリが4000円で販売されたため一気に状況暗転)。それは小学館の『仏和大辞典』とプチでは無い方の『ロワイヤル仏和』が電子辞書側の独自コンテンツとして生き残っている上に、Oxford仏英/英仏もドイツ語と同じくapp storeから姿を消しているからです(追記、2013年3月にOxford HachetteはDioDictからアプリで復活、2013年9月にMS Dictから復活、こちらの方がオススメです)。さらに今回の新機種では『プチロワイヤル』がiOS版と同じく改訂新版の方で収録されました。

コンテンツごとの価格を見るにiOS版プチロワが5700円、プチロベール仏仏が2950円で合計すると8650円ですが、これに2万2千円足すと『ロワイヤル仏和』と『小学館仏和大辞典』とOxford-Hachette Frenchが更に加わって全部一括検索出来る持ち運び型の小型電子辞書が手に入るというならば決して損な話では無いと思われます。仏和大・プチロベール・オックスフォードが3つセットで1万円程度の追加コンテンツカードアプリでは実現不可能な価格帯でしょう(※2013 5/26 追記 iOS版小学館仏和大辞典が予想外に低価格で提供されたため実現w)。

ただ、仏仏に関してですが、カシオ・フランスのモデルにはロベールの類義語・反対語辞典や固有名詞辞典があるのに日本版では未収録なのは残念としか言いようがありません。独仏辞典や仏西大辞典など利用出来る人があまりにも限られている海外モデル向けコンテンツを日本版に入れろとは言いませんが、仏仏に関してはフランスに進出した日本のメーカーのくせに本国のフランス語モデルが現地のモデルよりも中身で見劣りするなどというのは許されざる事態ではないでしょうか。

ちなみにiOS版のプチロベール仏仏はインターフェイスこそは非常に美しいですが、実際に使っていると電子辞書の方が早くて便利に感じるようになるはずです。iOSの仏仏辞典と言えばやはりDictionnaire illustré Larousseが値段の安さの割に豪華でいいですねLittréがオフラインで無料なのも魅力です。また、タブレット・スマートフォンのアプリにあって電子辞書に欠けているものはベシュレルなど動詞の活用表系のアプリおよび辞書内の全単語対応型の変化表・活用表で、電子辞書のコンテンツにも一応変化表呼び出し機能はありますが情報量としては到底及びません。

(関連記事)
仏仏辞典アプリの話とか
http://medomedospot.blogspot.jp/2013/05/le-robert-larousse-hachette-antidote.html


イタリア語に至っては小学館伊和・和伊Oxford ParaviaもiOSアプリ化されているのでイタリア語辞書の独自コンテンツが一つも無く、また有名な伊伊辞典、伊英辞典がiOSアプリでほとんど揃ってしまうという状況にあり、わざわざ高い電子辞書本体を買うメリットが一つも見当たりません。メーカーには悪いですがこんなものを買うのはまさに情報弱者でしょう。

(関連記事)
イタリア語電子辞書の憂鬱
http://medomedospot.blogspot.jp/2013/02/blog-post_2.html



スペイン語去年初めて電子辞書に入ったばかりの小学館西和が早々に物書堂からiOS化されてしまい、しかもOxford西英/英西はまだiOSアプリで現役です。
しかしiOSアプリや電子辞書の独自コンテンツ云々とは関係無く、メインの小学館西和辞典と白水社の現代スペイン語辞典と和西辞典の3つがセットになったCD-ROMもコンテンツカードも両方出ている以上、スペイン語モデル単体としての存在価値があまりよく分かりません。Oxford Spanish目当てで3万円も出す人がいるのでしょうか。

それと不思議なのはスペインで売られているモデルに搭載されているラルースの西西辞典が未だに収録されないことで、これの追加コンテンツ用CD-ROMはとっくの昔に発売されていたにも関わらず、何故か国内向け機種への搭載は拒まれたままついに生産中止になってしまったようで謎です。
一方でiOSにはVOXの西英辞典、西西辞典もあり、オンラインであればDRAEなんかも使えます。

スペイン語はイタリア語ほど悲惨ではないけれど、そもそもなぜ専用機種があるのかがイマイチ分からないような商品ラインナップをカシオ自身が設定しているのでスペイン語モデルはどうしても値段に見合わない買物になってしまうと思います。



ポルトガル語は目玉コンテンツだった白水社『現代ポルトガル語辞典』(葡和)が物書堂からアプリ化された結果、ポルトガル語モデルが初めて世に出てからまだ3代目で苦境に立たされました(しかもこの辞典はカシオのものよりもiOSの方が遥かに使いやすい)。さらには英語の対訳辞典がCollinsで既にiOSアプリ化済みであるので、独自コンテンツは小学館の日葡辞典のみとなっています。MichaelisやAurélioといった葡英、葡葡辞典もiOSで先に発売されていて、小学館現代日葡辞典のためだけにポルトガル語モデル電子辞書を買うのは考えづらいですね。追加コンテンツカードならまだしも、と言いたいところですがこちらにはコリンズの葡英/英葡が入っていません。
 
かく言う私も初代のポルトガル語モデルであるXD-B7800に飛び付いた一人だったのですが、カシオのモデルチェンジ・世代交代による新たなコンテンツの追加ではなくiOS版の同一辞書によってポルトガル語モデル自体の存在価値がゆらぐような結果になったのには放心してしまいたくなるような気分です。



ロシア語は今やiOSでオジェゴフとウシャコフとダーリが一緒になったような露露辞典アプリが二束三文で転がっているので状況としては『コンサイス露和・和露』とOxford Russian(追記、2013年9月にMS Dictからアプリ版が復活)だけを収録していた頃に逆戻りしてしまいました。『コンサイス露和』は元々小型サイズで、カシオの電子辞書の一文字一対応ではない打ちにくいキーボードでチンタラ入力しているくらいだったら紙で引いた方が早いということも間々あります(※追記 2013年3月よりセイコーのDFシリーズ用追加コンテンツカードにもコンサイス露和・和露が登場しカシオのオリジナルコンテンツではなくなる)。
今後研究社の露和・和露の電子化くらいでもない限り、ロシア語モデルに魅力を感じる人は減ることはあっても増える可能性は無いでしょう。まさかロシア語モデルにこんなに進歩が無いとは呆れるばかりです。

(関連記事)
廉価な露露辞典アプリ、一体どれを選ぶ?
http://medomedospot.blogspot.jp/2013/01/blog-post_16.html



中国語はドイツ語・フランス語と同じく目玉の『中日大辞典』(旧版)がまだアプリ化されておらず追加コンテンツカードにすらなっていないので、この辞書一冊分だけでもタブレット・スマートフォンと差をつける要因として浮上します。中国語モデルだけレッドカラーがあるのもアピールポイントです。

新モデルで『中日大辞典』第三版の電子化が追い付かなかったのは残念ですが、むしろ日汉辞典や『超級クラウン中日』(これは既にiOS化済み)などカシオ・チャイナから出ているモデルに収録されているコンテンツが日本版にも導入されるかどうかが今後注目すべき点になると思います。中国カシオの電子辞書はヨーロッパと違ってモデルチェンジのペースが日本と半年程度の遅れしか無く、本体機能も日本モデルと変わらないのでコンテンツ次第では「中国版モデルを輸入して必要な追加カードを差し込めば中身のケチな日本版モデルはいらない」といったことも今後ありうるかもしれません。

(参考)
中国カシオの電子辞書にドイツ語モデルが登場
http://medomedospot.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html



韓国語も今まで電子辞書のメインコンテンツだった小学館の『朝鮮語辞典』と『日韓辞典が』iOS化されてしまいましたが、iOSアプリとのコンテンツ重複よりもむしろ日本メーカーの韓国モデルの逆輸入や韓国メーカー製電子辞書によって今後の状況は変わって来ると思います。ただ、韓国語は上記の外国語に比べると機械に弱いユーザーが多いのでたとえヘボコンテンツ使い回しの低機能辞書であっても(むしろその方が)ある程度は売れ続けるでしょう。


最後にまとめると、ドイツ語フランス語・中国語モデルは大辞典系コンテンツが必要な人なら使ってみる価値ありで、イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語は専用モデルを買わずに追加コンテンツとして他のモデルに入れるかタブレット・スマートフォン用のアプリで同じものが無いかどうかを確認して値段とも相談して決めた方がいい、韓国語は好きにして頂戴、

ということです。学生の方はくれぐれも春の生協販売員のトークなどに騙されることなく、何を買えば一番合目的で安く済ませられるのかコンテンツを見比べて自分でじっくり考えましょう。

(2013年5月追記)
これを書いた時点での情報よりもスマホ・タブレット向け第二外国語辞書のコンテンツ高度化とデフレは遥かに進んでいたようです。最初に述べた通り、プロフェッショナル向けで3か国語以上の合併モデルでも出さない限り生き残りは難しいでしょうね。

(2014年2月追記)
iOSアプリに大辞典系コンテンツが加わったためドイツ語モデルとフランス語モデルの価値は大幅に低下しました。もうここまで来ると中国語(と韓国語)以外の電子辞書第二外国語モデルは他人に薦められるようなものでは無い、とまで言わざるを得ない段階に来ています。カシオの無策ぶりには呆れるばかりです。 これが斜陽産業が滅びゆく現実というものなのでしょうか。



おまけ
Late Of The Pier - Focker 




前回記事
タブレット・スマートフォンと電子辞書(1)英語編

2013年2月7日木曜日

Hrvatsko-engleski rječnik / Croatian-English Dictionary  Drvodelićのクロアチア語->英語辞典

Croatian-English Dictionary

これはかつてはHrvatsko ili srpsko engleski rječnik、Croatian or Serbian English Dictionaryという名前で出回っていた辞書で初版は1953年、途中の改訂にはŽeljko Bujasも加わっています。今ではタイトルからSerbianが消えていますが昔の版でも見出しにクロアチア語形しか収録しておらず、たまにラテン語由来のセルビア語の単語があっても単なる普通の外来語みたいな扱いになっていたりします。あくまでクロアチア語の辞書です。

収録語数は約7万でページ数共にMorton-Bensonよりも多いのですが、実際は多義語の訳語候補だけはやたらとたくさん分類提示されてはいるけど結局用例が少なくてコロケーションの情報があまり分からないというタイプの困ったちゃんです。専門用語なども一応収録してはいますがMorton-Bensonに載ってないものがこっちで見つかるというのもほとんどありませんでした(収録語数に大差が無いので当然と言えば当然)。

ブヤスのクロアチア語->英語大辞典があればどうしても出番は激減してしまう辞書ですね。



おまけ

Magazin - Oko moje sanjivo


Magazin - Rano, ranije


2013年2月6日水曜日

ニューエクスプレス セルビア語・クロアチア語


ニューエクスプレス セルビア語・クロアチア語
これも旧版と同じくローマ字表記セルビア語ベースで「クロアチア語にも配慮しています」と導入部に書かれていますがクロアチア語についての具体的言及はむしろ旧版よりも少なくなっているくらいです。スキットのキリル文字バージョンも今回は収録されていません。語彙集の各単語のアクセント表記も無くなりました。それでも扱われている文法事項は旧版よりも若干拡充されており、変化表も見やすくなっています。

ただ、変化表を覚えてなくても語註を見れば形がすぐに分かってしまう超親切仕様は旧版と同じで、使う人の心がけ次第で読み終わった後の成果は随分と変わってくるでしょう。

最初の「文字と発音」がそっくりそのまま旧版の使い回しで、スキットは8課(旧版7課)のコーヒーとお茶の話や「ご主人がエンジニア」という設定など類似した内容のものもありますが一応全篇新作ということになっています。スキット右ページの「慣用表現」には旧版にはなかった一言コメントが付いており、例えばsamo malo (p29)「少しだけ」の箇所には

謙遜家の多い日本人はこれを知っておくと安心ですね。
のように記されていて、こういった細かい面で説明の言葉数が増えて旧版よりも全体的に柔らかく、書き方に余裕があるような印象を受けます。

巻末には変化表の他に語順に関するルール(p133)が簡潔にまとめてあって有用です。ボスニア生まれの歌手ヤドランカの"Vjerujem"の歌詞を訳付きで丸々載せた「うたのページ」なんてのもあります(JASRAC様の名前が巻末に刻印されているので恐ろしくて動画のリンクを貼れませんw)

ちなみに主人公の日本人女性が何者なのか最後まで明かされていないですが、見た目のイラストがいかにも30代の人文系の女性研究者で「あっwこういう人いるわwww」と笑い出しそうになりました。


おまけ1
セルビア語とクロアチア語の違いを巡る議論について知るには
Language and Identity in the Balkans: Serbo-Croatian and Its Disintegration
Language and Identity in the Balkans: Serbo-Croatian and Its Disintegration

がおすすめです。

おまけ2
Smak - Crna dama


2013年2月5日火曜日

『セルビア語常用6000語』

セルビア語常用6000語 (常用6000語シリーズ)

裏表紙には「本邦初のセルビア語-日本語中辞典である」とありますが単語集です。見出しは全てキリル文字表記で、全335ページ中最初の225ページまでがセルビア語->日本語、残りが日本語->セルビア語の索引という構成を取っています。文法要覧などは特に付いていません。

動詞は一人称単数形を斜体で付記し、名詞と形容詞は複数形や比較級が不規則な場合に同じく斜体でその形を記してあります。動詞の完了体・不完了体のペアはそれぞれ独立した見出しから右矢印(->)でお互いに参照できるようになっています。なお、対格以外の斜格の補語を取る動詞についてはмахати「振る」(чим) 、сврбети「かゆい」(кога)のように要求格が一応セットで示してありますが、このsvrbetiのように情報が不完全(かゆいと感じている人の身体の部分が主語になることが書いていない)なものもあったりするのであまり期待せずに素直に辞書で確認した方がいいです。

欠点はアクセントの情報が無いことですが、キリル文字表記ではアクセント記号の印刷が難しすぎるからこれは仕方ないかもしれません。いや、もしかしてそれを狙って最初から全篇キリル文字にしたのでは?(アクセントを記すのが面倒だからキリル文字にして逃げた?)というのは邪推でしょうかねw

その他特徴としては、日本語の訳に使われている漢字がやけに凝っているということが挙げられます。кртица「土龍(もぐら)」、веверица「栗鼠(りす)」、фиока「抽斗(ひきだし)」、жуљ「肉刺、胼胝(まめ、たこ)」、џепарош「掏摸(すり)」のように漢字検定でもやるのかというような難しい字をわざわざ使ってご丁寧にルビまで振っているものもあれば、уморити се「草臥れる(くたびれる)」やгрбав「傴僂(せむし)の」なんかになると明治・大正期の日本語でも読んでいるような気分にさせられます。

この方が確かに印象に残って覚えられるのかもしれませんが、 一体何の意図で訳語の漢字使用にこだわったのかは謎ですね。ちなみにこれ2001年初版の本ですよw

おまけ1

KKN - Ovde i sada


おまけ2
KKN - Every Nation 


2013年2月4日月曜日

Synonimy (Gdy Ci słowa zabraknie) ポーランド語類語辞典アプリ


https://itunes.apple.com/jp/app/synonimy/id543136651

書籍版ではGdy Ci słowa zabraknie(言葉が出てこない時)というタイトルで刊行されていた辞典のiOS版アプリ版で、いかにもアイコンがパチモノくさいですが版元の公式アプリです。
http://www.synonimy.pl/
リンク先では収録語数が削られたデモ版を試してみることも出来ます。

私も書籍版は研究室でチラっと立ち読みした程度の記憶しか無く手元にも無いので、内容が完全に同一かどうかは分かりません。 ちなみにどういうわけだかこのアプリの中にも書籍版の注文フォームがあります(笑)。

見出し語が42000、収録類語は全部で500000、中身としてはごくごく普通のシソーラスで、何かポーランド語で単語を引くとその類義語がズラリと表示されて右矢印(->)のついた単語にはタッチでジャンプ出来るようになっています。

前方一致検索ではなく部分一致で拾ってくれるので、例えばgłupi「バカ」で引くとniegłupi「賢い」やogłupiały「混乱した、麻痺した」やprzygłupi「お馬鹿な、マヌケな、くだらない」などもみんな引っ掛かります。もちろんgłupiからジャンプしていれば反対語のniegłupi以外の-głup-を含む単語にはそれなりに辿り着けるようになっているのですが、接頭辞が違うだけで語幹が同じ単語からそれぞれ異なる類義語を表示して見比べられるというのはなかなか便利で電子版ならではの長所と言えるかもしれません。

ただ、非ユニバーサルアプリでiPhoneの画面サイズ対応なためか、 類義語を並べる以外に画面に何の情報も出てこないのは物足りない気がします。せめて検索候補一覧を画面左端に一覧表示して、右側残りの分割したウィンドウに類語一覧を並べる形にするくらいのことはiPad版では実現してほしいものですね。

それと、辞書中で使われている略号の一覧がアプリ内で見当らないような気がするのですがもしかして入れ忘れたんでしょうかね。wykrz. なんて見出しの前にあってもそれが感嘆詞(wykrzyknik)のことだと説明無しに分かるのはポーランド人か波波辞典を引き慣れているような人だけです。

まあとりあえず300円の価値は十分にあるアプリだと思いました。



おまけ
Lady Pank - Tańcz Głupia Tańcz




2013年2月3日日曜日

CDエクスプレス セルビア語・クロアチア語

CDエクスプレス セルビア語・クロアチア語 (CDエクスプレスシリーズ)

タイトルは『セルビア語・クロアチア語』になっていますが本文はローマ字セルビア語で、クロアチア語に関しては月の名前の違い(クロアチアはlistopadなどスラヴ暦に基づく月名を使用)と「クロアチア語とセルビア語」という後半部の3回の解説と否定代名詞の違いにおいて触れられるのみとなっています。巻末にはセルビア語本文スキットのキリル文字バージョンも収録されています(15課まで)。

また、本文にはアクセント(トーン)記号が振られていませんが、巻末の語彙集の単語には全てアクセントが付いています。

この本はエクスプレスに限らず他のスラヴ語の入門書類に比べてスキットの語註があまりにも親切で、例えばćerku「娘を」のように本文に出て来たそのままの形で新出単語表に意味を載せてしまっているのでこれがćerkaの対格だと分からなくても、いやぶっちゃけ格変化表なんか頭に入って無くても単語の訳さえ見ていればどんどん先に進んでしまえるようになっています。prije dva dana「2日前に」やiz cijelog svijeta「世界中から」みたいなフレーズも自分の頭で単語の組み合わせと意味を考えなくてもそのままの形でスキット右ページに載っているので、分かっていなくてもどんどん気楽にページをめくってしまう誘惑大ですw さすがに動詞に関しては後半からは不定形だけしか載っていないことが多いようですが、もともとセルビア語の動詞は形態論的にはあまり複雑ではなく、完了体と不完了体の違いも最後の20課にならないと出てこないのでやっぱりイージーゲーム仕様であることには変わりありません。

内容としては割と他愛の無い平和な文章ばかりですがラキヤの話が3回も出てくるのが印象的で、書いてる本人が多分酒飲みなんだろうと思いました(笑)。

 http://www.dibonis.rs/


ちなみに著者の最初の専門はマケドニア語の方言地理学で『バルカンをフィールドワークする』というフィールドワークというか留学体験記のような本があってそちらもなかなか面白いのですが、現在著者はセルビア語やマケドニア語の研究からは遠ざかってしまっているようです。

バルカンをフィールドワークする―ことばを訪ねて

おまけ
Alogia - Magija

2013年2月2日土曜日

ビルマ語の対訳辞典について ビルマ語->日・英・中

日本語のネイティブスピーカーはビルマ語の対訳辞典を利用する上で非常に恵まれています。

ビルマ(ミャンマー)語辞典

まず、日本の大学書林から出ている「大野辞典」こと『ビルマ(ミャンマー)語辞典』ですが、見出し語46300は一巻本の対訳辞書としては世界で二番目です。語源として記されているパーリ語やヒンディー語などに間違いがたくさんあるのと、フルセンテンスの例文がほとんど無いのが欠点で、値段も税抜定価25000円とのけぞりますが中身を見ればこれでも十分良心的価格だと納得出来ると思います。ミャンマー進出を考えている企業の方々は是非ともこの辞書をじゃんじゃん一括購入して大学書林に増刷を余儀なくさせ、無理矢理著者に改訂を促すことによって今後のビルマ学の興隆のために貢献してください。

次に、Myanmar Commission(ミャンマー(言語)委員会、東欧や旧ソ連でいうところの言語アカデミーに相当)が出しているビルマ語->英語のMyanmar-English Dictionaryがあります。


http://goldenmyanmar.net/store/product_info.php?products_id=1973

こちらは25000語で収録語数こそ大学書林の大野辞典に劣りますが、図版が豊富で見出しの配列が完全にビルマ文字の文字表順に従っているので目当ての単語の綴りがややこしくても探しやすいという長所があります(大野辞典ではどこにあるのか分からず見つからなかったのがこっちでは一撃で出てくるということがよくある)。アメリカのDunwoody Pressから出ているハードカバー版だと10000円は下らないですが、ミャンマー現地から写真のソフトカバー版を買えば送料込みで3000円くらいかもしれません(もっと安いかも)。ただし製本があまりにもひ弱で使っているとすぐにバラバラ殺辞書になるのでページが散逸する前に私はPDFにしてしまいました。

なおCD-ROMの電子版もありますが、まずWinでビルマ文字のキーボードを設定するのが面倒ですしシールとか貼らないと配列覚えられませんし、スクリーンキーボードを使ってえっちらおっちら一文字ずつ打ってたら入力し終わる前に綴りを忘れてしまいますしで、持っていてもほとんど使わない状態となっています。これがもしiPadで出たら革命的なことになるでしょうけどね

そして、中国の『緬漢詞典』

http://www.amazon.cn/dp/B00358O2CG/

収録語数は6万語で、一応これが一巻本のビルマ語との対訳辞典としては世界最大です。
えー中国語分かんないよーと思った方も心配には及びません。
基本的な単語は大野辞典やミャンマー言語委員会の辞書を引けばよろしいのであって、その両者を調べてもダメだった場合に奥の手としてこの辞書に頼ることになります。しかも、そんなマニアックな単語でも漢字を見れば案外簡単に意味が分かってしまったりするものです。


以上この3つの対訳辞典を日本語話者は容易に利用することが出来るというのは大きなアドバンテージだと思います。

2013年2月1日金曜日

イタリア語電子辞書の憂鬱

カシオが2月になっても新モデルを発表しないのでぽつぽつネタを出していきますが、
持ち運び用の電子辞書の第二外国語モデルとしてもっともお先が真っ暗なのはイタリア語です。

2012年モデル XD-D7400
CASIO Ex-word 電子辞書 イタリア語モデル 100コンテンツ・2000文学作品・クラシック1000フレーズ収録 ツインカラー液晶 EX-VOICE機能 タフパワー 学習帳機能搭載 XD-D7400

その理由は、辞書のオリジナルコンテンツが何も無いこと
小学館の伊和・和伊辞典はiOS版があって4800円、
OXford-Paravia伊英・英伊辞典もiPhone用で非ユニバーサルだけど1700円、
カシオのイタリア語モデルの専用機を買っても搭載されている辞書はこれと同じ。
伊伊辞典なんて入ってません。


簡単な話が、iPhoneなりiPadなりを持っていれば6500円で揃えられるコンテンツを目当てに
わざわざ3万円近くするような専用筺体を買って使う人がいるのか、ということです。

しかもイタリア語に関しては今後新たに電子化されうる有力なコンテンツが国内にもう無いんですね。
一昨年白水社から新しい中辞典が出ましたが、これを電子化したところでどうせ小学館の既存の辞典の陰に余計隠れるに決まってるし、野上素一の新伊和辞典なんてもっと電子化の可能性は低いでしょう。一応パソコン用の熟語辞典がありますが、これを追加したところで喜ぶ人がどれほどいるものか。

それに、主力の小学館伊和・和伊はデータカードやCD-ROMの追加コンテンツにもなっているので、本当にイタリア語モデルを買わないと電子辞書上で使えないのはオックスフォード伊英・英伊だけです。

その一方でiOSの辞書類はイタリア語はほとんど何でもアリに近い状態で、
Garzanti, Zingarelli, Devoto-Oli, Sabatini-Coletti, TreccaniといったPC版でも出回っている定番の伊伊辞典類がアプリ化されており、Oxford-Paravia以外にもGarzanti Hazon, Ragazzini, Sansoniなど英語の対訳辞書の選択肢もあります(ただし、これらは実際に辞書の名前を入力しないとapp storeで見つけられなかったりします。italianoとかdizionarioだけじゃ出てこないのがある)。有名どころでiOS版が無いのはDe Mauroくらい。しかもZanichelli社のものは年度ごとにアップデートがあります。さらには対訳辞典だけでなく、類義語辞典や映画作品辞典や技術専門用語辞典など色々な辞書がラインナップされています。

しかも、上に名前を挙げた辞書アプリを全部買ってもまだ3万円に届きません。

もちろん、一括検索や辞書同士のジャンプが出来なかったり、訳語呼び出す度に画面が切り替わるのがウザいとかインターフェースがイマイチだとか不満もあるかもしれませんが、ここまでコンテンツに差があると持ち運び用の電子辞書とスマートフォン・タブレットを比較した場合、どう転んでも前者の完敗としか言いようがありません。

第二外国語モデルを買ってもらう最大のターゲットは学生でしょうでけど、イタリア語に関してはiOSの辞書を使わずに小学館とオックスフォードの辞書だけが入った高いイタリア語モデルを買う、なんてことは事情を知っていればまずありえないことになってしまうでしょう。

そんなわけで今後イタリア語モデルの販売継続は難しくなっていくだろうと予想されます。
他の言語でイタリア語並みに有名辞書のiOS化フィーバーが起きてたらさぞ便利だったんでしょうけどね。

おまけ
Locanda delle Fate - A volte un istante di quiete


プログレ・インスト・メドレー
妖精+2(紙ジャケット仕様) ロカンダ・デッレ・ファーテ

妖精+2(紙ジャケット仕様)

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